ラジオドラマ復興の裏事情
【ラジオデイズ】
今年度下期ギャラクシー賞ラジオ部門の選考会。
ドラマとドキュメンタリー部門、そして生ワイドと音楽&
エンタテインメント部門にラジオ委員が分かれて出品作を
すべて聴いて、合議制で決定していくのだが、これがなかなか
大変な作業である。ニッポン放送編成部在籍時代には隔月で
全ての番組を「分析」するという作業を部員全員で手分けして
やった経験があるとはいえ、作品としての完成度が高いもの
がたくさん応募されるわけだから、疲れ方が違う。
おかげさまで、年間のトータル出品が100本を超える、
史上最高の年となったのだが、これはボクの力はかけらもなく
ラジオ番組の編集技術の簡便化にあるといえよう。
一時期はドラマ部門の応募が本当に少なく、ラジオドラマは
もう時代遅れだから、部門を統合してしまおうという意見を
真剣に討議したこともあったが、まさにV字回復。とはいえ
ニーズが増えたというより、三谷幸喜監督の「ラヂオの時間」
に見るような、プロデューサーが何週間もスタジオをロック
アウトして、出演者はもとより、音響効果からADまでを
指揮者のごとく操る収録スタイルから、ハードディスクに
バラバラにとりあえずぶち込んで、後から編集するという
スタイルが、ようやく一般的になったからに他ならない。
しかしそれはそれで落とし穴もあり、トラックダウンまでを
パソコン上で行うため、細かいミスに気がつかないという
事がよく起きる。さながらプリントアウトせずに校正して
入力するwebページのようである。そこでは失敗が許されない
という緊張感からくる出演者のグルーヴもそがれるものだ。
とはいえ昔がよかったなんて全く思わないのだが、最終的な
トラックダウンはリアルタイムで作る。これは非常に重要な
気がするのである。
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