「放送ネットワークの強靭化に関する検討会」中間取りまとめを考える
ラジオの将来像について大きな指針がようやく出た。
総務省の担当者の話が聞けるという事で、7月17日には
すでに基本方針案が発表になっていたが、当事者の話で
ニュアンスを聞いてから意見を述べたいと思い、拙速な
感想は控えていた。
まず、V-low帯と呼ばれる90〜108Mhzについて、全て
アナログもデジタルも含めたラジオに割り当てられた、
という事実について、大きくその意義をかみしめたい。
ラジオのデジタル化が叫ばれてから、二転三転しての
「失われた十年」は大きく、その間ラジオの媒体価値が
低下した事実は否めない。そしてボクが構成員を務めた
「ラジオと地域情報メディアの今後に関する研究会」も
「国民に大きな負担を強いてテレビを買い替えさせた
デジタル化の跡地をラジオだけが使うのはどうなのか」
といった雰囲気があった事は確かだ。
ラジオ全局のデジタル化を見送るという民放連の発表や
NHKの参入見送りなどがあった。その後出てきたAM局の
難聴取対策としてのFM周波数利用と、それでもラジオの
デジタル放送を推進するTOKYO FM中心のグループの
双方の要望を受け容れる形での周波数配分について、
「大岡裁き」という見方もあるようだ。そしてこれは
NHKにとってはかなり厳しい内容であることは否めない。
しかし特筆すべきポイントはそこではない。
まず強靭化は「災害時のファーストインフォーマー」
としてのラジオの重要性を再確認したことであって、
平時でのラジオの役割については触れられていない。
また経産省の「産活法」をラジオにあてはめることで
経営上の課題をクリアし、「新たなアイデアによる
事業展開の推進」というトーンの違うものが提言の
しめくくりとして入っていることである。
これについては「5年後のラジオは大丈夫か、という
厳しい見方をされている」というニュアンスが伝え
られて、ハッとしたのが、率直な感想である。
よくいわれる「非常用持ち出し袋」の必需品として、
何とか延命をはかることができたが、このままでは
ラジオの将来はない、という意図が読み取れる。
難聴取対策だけでは復権はおぼつかないというならば
radlkoの放送区域撤廃は当然切り札にはならない。
「オーディエンスセグメンテーション」の次なる
一手は、向こうからは歩いてこない。
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