31年前の自分に再会する
「Mac世代におくるレイアウト術 デザインにルールなんてない」
という本が出版された。ボクは大学生の頃に創刊当時の
雑誌「オリーブ」で編集者をやっていた。その時に
お世話になったアート・ディレクターの新谷雅弘さんが、
DTP以前のノウハウを解説したレイアウト術の本である。
アルバイトではなくて、編集者として扱ってくれたのが
当時の平凡出版。だからこそ怖い物知らずで一人前のつもりで
いたけれど、今思えば堀内誠一さん直系の第一人者新谷さんに、
恐れ多い「リクエスト」をしていたのではないかと思う。
カメラマンと一緒に取材から帰って来るのが夕方すぎ。
写真のポジやイラストの出来上がりと一緒に、編集部のあった
東進ビルの4階から、上のフロアにいる新谷さんをはじめとした
レイアウトのスタッフのところに打ち合わせに行く。
とはいえタイトルのコピーを考え、写真の大きさとリードの文章の
おおまかな字数を話すと、あとはおまかせなのだ。
そして深夜にはレイアウト指定の用紙があがってくる。
ビジュアルにはからきし疎い(だからラジオでなんとかなっている)
ボクは、まるで魔法のようなレイアウトの上がりにため息をつき、
あとは指定された字数を、未明に原稿用紙に書くのだ。そして
原稿用紙やネガやイラストなど、一切合切をポスターが入りそうな
大きな黄色いオリーブの袋に詰めておしまい。早朝、大日本印刷の
人がそれをピックアップしてくれる。
今回の発売にあたり青山ブックセンターの本店で「新谷雅弘の仕事展」
というイベントがあり、事務所の近くでもあり訪ねてきた。
「ポパイ」時代も含めて沢山の新谷さんの仕事の中から、何と
自分が入稿した「オリーブ7号」のレイアウト用紙が展示されている。
壁に貼ってあるのは、他の見開きだったが、全部のレイアウト指定紙が
入った袋も置いてあって、ボクが書いた「アフリカ」の記事の見開き
原本が入っていたのである。31年前の夏の日の朝に出してから、
すっかりその存在すら忘れていたあのレイアウト指定紙である。
それはまるでタイムカプセルを開けたようで、いろんな事を思い出した。
ニッポン放送にいた10年の前に、平凡出版に出入りしていた1年間。
ボクのキャリアの中でとっても濃密な時間で、今もアタマが上がらない
人々がいっぱいいるのである。
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