チュニジア競馬場事情
【零細馬主で馬券下手】
競馬は紀元前から、ここ地中海周辺で行われていた。
サラブレッドは純血イギリス種と呼ばれ、純血アラブ
がレースの根幹を占めているのが、中東やアフリカ、
マグレブ諸国の現状ではないだろうか。だから競馬の
国際的カテゴリーとして上位に位置せず、というより
上昇志向そのものが、あまりないように思われる。
もうひとつの特徴は、ムスリムの国では「賭け」が
許されていない、という事。ドバイのレースでも、
馬券を競馬場で買えない、というのは最近知られる
ようになった。馬が走るのにギャンブルがないかも。
何と味気ない、と思いつつも開催があるからには、
行ってみないと気が済まないのが競馬ファンの性だ。
チュニジア競馬のホームページに開催告知があり、
春の開催の最終日となる6月15日にチュニス郊外の
カサール・サイード競馬場に向かう。タクシーが
初乗り50円程度という国なので、市内から乗って
300円程度、15分あまりで現地到着。最寄り駅から
競馬新聞を持ち歩くオヤジの列があるかと思うが、
全く違う閑散とした風景が…。
この日はG1レースが6連発。日本で言えば宝塚記念
の日に、NHKマイルやら、ヴィクトリアマイル等が
あるような番組構成。入場無料なのにお客さんは
恐らく300人くらいだが、どうやら馬券は発売中。
レース前に盛り上がったのはフランス競馬の中継。
市内のキオスクではパリ・チュルフ紙が買えたが
フランス語圏アフリカならどの国の街角にもある
PMU(場外馬券売り場)が今のところチュニジア
では見つからなかった。競馬場のみ馬券を発売、
ということだとしても、観客は少ないといえる。
ワインやビールを製造し売っている国なのに、
手に入れられる店は限られている。大手を振って、
といかない「背徳感」が鉄火場にも充満する。
もちろん場内で酒類の販売なく、ミントティー
とか、エスプレッソ片手に観戦することになる。
時差の関係でフランス・オークスが終ると、
いよいよ待ちかねた目の前を馬が走る番になる。
1周は1800mくらいのダートコースのみ。
馬は純血アラブのレースが5つ。サラブレッドは
種牡馬で凱旋門賞のサキーとかイタリアダービー馬
のジェントルウェイヴを知っているくらいだ。
チュニジアの競馬新聞は、プログラムのペラ一枚。
馬番、枠番、馬名、勝負服、馬主名、騎手、斤量、
性別、毛色、馬齢、血統、調教師名、装着の馬具、
過去5走の着順のみで、パドック予想するしかない。
驚いたのは、たった1台あるオッズ・モニターを
見ても、馬連ばかりが売れ単勝が10票、複勝に
至っては、確定後もずっとゼロのままであった。
そして素人目でもパドック気配の優劣が顕著で
少頭数の本命サイドで決まるレースが続いて、
たまたまだったのかも知れないが、香港などとは
比較にならない、静かな開催の一日を終えた。
ゴール前は一応クラブハウスで階下が開催事務所。
メインスタンドも人影はまばらだが、1万人くらいは
入りそう。きっとコンサートとかやるのかも。
着順掲揚板は今は使われない。
スタートすると右側の鐘が鳴らされる。
断然人気のEL MAJDは気合い乗りが違った。
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