外国語のタイトルの誤用
改編が終わり長年の習慣がリセットされたり、新番組のスタートが始まった。何かと気になるのが新しい番組などのタイトルだ。外国語を使う場合には、日本で考えられている意味との乖離がないかどうか、ネイティヴという生まれながらにその言葉で育ってきた人のチェックは必須。とんでもない誤解で恥ずかしい言葉をずつとまき散らすことになるからだ。
よくあるのがフランス料理やイタリア料理のレストランにおける看板のスペルミス。1文字の間違いとはいえ、スラングでとんでもない意味になっていることもある。LとRの発音勘違いなどは犯しがちだ。ちょっとした違いに見えるけど、海外の怪しげな日本料理屋とかスパムメールで「ぬ」なのか「な」なのか「の」なのか微妙な活字が使われると、その時点で「わかっていない」と切り捨ててしまうのと同じだ。
ひと言でネイティヴとくくるけれど、言葉に対する意識の高さは、勉強ができるできないとは関係ない。上手に外国語が喋れても、文法などではむちゃくちゃな人は多いし、日本語で言えば日本語ネイティヴが全員「日本語教師」になれるワケじゃない。言葉は生き物だから「死語」もあれば、すぐに消える「若者言葉」も存在する。国外で外国人ガイドに「この遺跡マジ、ヤバいっす」とか言われたらどう思うだろうか。ひと昔前の在日「変な外人」は、わざと「ご不浄はどこですか?」と居酒屋で聞いて店員に通じず、これが受けるコツだと自慢していたが、それもどうかと思う。
本題に戻ると文法的な破綻がなく、なおかつコロキュアル(話し言葉)なタイトルを考えるのは難しい。手垢がついた言い回しを避けるがあまり、流行の言葉や新語に逃げてしまうとロクなことはない。言語学者でもなければ、在外の経験もないボクなどが吠えても、疎まれるだけだろうが、ひとつだけ今日気になったタイトルを記しておく。
「エールドパリ」とタイトルコールがあり、カタカナで活字が画面に浮き上がる。どうやらパリ五輪の盛り上げ企画らしい。「パリの空気」かと思ったが、それなら冠詞のLeが入ってL'air de Parisとなるよなと思ったら「Yell de Pairs」という文字が…。「パリの声援」って、何かと思えばどうやら、日本人アスリートの応援企画らしい。伝えたい雰囲気は日本語として理解できなくもないが、意味が通らないでしょ!
主語がなくても何となくニュアンスを共有できる日本語は便利な言語だが、外国語でしかもタイトルとして使うならば、やはりそこは適切な語彙を選ばなければカッコ悪い。間違えているのはまだいい。でもカッコいいと思っていれば最悪だ。
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