グルメ・クッキング

アメリカ村がまた熱い!

関西の緑が少ない市街地で生まれたため、しばしば連れて行かれたのが、大阪の心斎橋筋。母親の仲が良かった友達が、今で言うセレクトショップを女手ひとつで経営していたからだ。
場所は心斎橋筋のアーケード街と周防町の交差点の信号近く。今でもある「しんぶら街」の宇治香園の並びで、ミヤコ楽器や和光大阪店が以前あった向かいである。流石に和光は子供には敷居が高かったが、レコード、オーディオも揃うミヤコ楽器が遊び場。古くは大月みやこ、新しくはコブクロもこの店には縁が深く、音楽情報発信源だったので、ずいぶん店員さんに可愛がってもらった。
串揚げの「うえしま」は、そこから御堂筋を渡って反対側のアメリカ村にオープンして38年。十分老舗だがボクが東京に引っ越してからの営業なので、社会人になってからの付き合いである。田中康夫サンもその著者で取り上げていた。
大阪駅ガード下などの立ち呑みとは違い、創作の串揚げ。最初に出てくる絶品の鱚から怒涛のお任せはそこそこの値段。「高くて美味いのは当たり前」という大阪人の厳しい舌を唸らせ、バブル以降も独自の味と暖簾を守っている。
店名の通り大将は上島さん。今回は初の孤独のグルメで遅い時間からということもあり、賑やかなギョーカイ人率が高い通常とは違って、カウンター越しにサシで昔話の花を咲かせた。この店が入るビルは母親が建てて譲り受けたもの。心斎橋そごうの屋上に金魚釣りがあったこと。そしてお小遣いで洋食の「明治軒」や、松前屋の昆布を買ったこと。今はもうない御堂筋に出ていた夜鳴きうどんの、全部入りメニュー「ホームラン」の話で大盛り上がり。ある種のご近所感がたまらない。
古希を超えても姿勢が良く、スマートな上島さんの立ち姿に感心して尋ねると、毎日欠かさないスクワットが秘訣だとか。お客さんからの予約電話を受けるたび、ありがたいと繰り返す姿を、そのうちではなく味わいに行かないと、と誓いを新たにして店を後にした。


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はりまや橋近くの日本酒バー

【肝硬変への道】

取材で行った高知。地元の方にお願いして地元の酒と
食材の店をアレンジしてもらう。まず「居魚屋一釣」
カツオの塩タタキはもちろん、ドロメ(生シラス)の
ヌタ、アオサ海苔の天ぷら、焼きメヒカリなどなど、
店主が釣りに行く時不定休という魚にこだわった店は
最高だった。「たっすいがは、いかん」というコピー
で高知はキリンラガーのシェアを伸ばしているという
けれども、スタートから高知の日本酒を頼みまくる。
そして2軒目は近くでめぼしをつけていた「ぼくさん」
になだれ込もうとするも、残念ながら満員。そして
メンバーの記憶をたどって「米米くらぶ」に突撃する。
カウンターの向こうに冷蔵庫で四合瓶がズラリと並ぶ
端正な佇まいで、土佐の純米酒しか置かないという
潔い揃えは、ボクのリクエストにぴったりのバーだ。
フルートグラスやカクテルグラスで供される日本酒は
72歳の矍鑠とした女将のグラス選択と、こだわりの
温度管理が命。肌ツヤがとてもいいので「やっぱり
日本酒がいいんですかね」との問いに「ええ男やで」
と帰ってくるあたりが洒落ている。東京で飲んだ事が
ある銘柄でも、現地にしかないモノももちろん置いて
あって、二日酔い覚悟でみんなでオーダーする。
「美丈夫」の浜川酒造の話で盛り上がり、ラベルに
記されている「舞」とか「華」がお嬢さんの名前だ
と教わる。締めは大吟醸「夢許(ゆめばかり)」の
とっておきを出していただいて、まさに夢心地で
投宿先のベッドに倒れ込んだのであった。

赤野 潦 純米吟醸無炉過
無手無冠 純米生 ダバダ火振の蔵
しらぎく 特別純米 ぼっちり
しらぎく 純米吟醸 生詰
船中八策 司牡丹の超辛口
美丈夫 華 純米大吟醸

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新たなるスタートは、最初の一歩の地で

代々木上原の「「シャントレル」」。
事務所のご近所さんである「ラルテミス」本店の
中田雄介シェフが独立してオープンしたばかりの
フレンチだ。12席のカウンター中心で、椅子席も
6席。オープンキッチンで調理が目でも楽しめる。
シャントレルというのはフランスのキノコの一種
ということだそうで、壁には小さな額に収まった
各種のキノコの絵がかかっている。中田さんは
恵比寿「マッシュルーム」の山岡さんと同じ趣味
だったとは知りませんでした。
事前予約の10000円、6800円、4800円という
コースが3種類。「ラルテミス」がブラッスリーに
変わってからというものの、中田さんの持ち味が
イマイチ活かしきれない感じだったところに、
満を持してのコース設定だから、アラカルトがない、
とは言わず、コースを堪能しようということに。
おなじみ「サーモンの瞬間薫製」は、やっぱり
はずせないと思えば、当然組み込まれていて、
スペシャリテを持つシェフは強いなぁ、と実感。
フォワグラをハイビスカスで紫色に色づけて、
桃を使ったり(もともと蜂蜜で食したりするもの)
軍鶏、真鯛のポワレなどなど、暑い夏の晩餐に
冷たいサンセールが合う皿が出てくる。
もちろん野菜もコクがあって美味。もともと
「ラブランシュ」にいたのは知っていたけれど、
代々木上原でフレンチのアルバイトでこの世界に
入ったので、ここで独立して夢が叶ったという
中田シェフ。オープンしたばかりで前のお店の
常連も多いのだが、次々と新しい世界に向けて
チャレンジしていって欲しいなと思う。ちなみに
デザートとコーヒーはコースには含まれない。

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最初から最後までアルザスの白ワインで通すディナー

ブラッスリー・ジョンティ
ブラッスリーとはもともとビール醸造所であるからして
値段も含めて「わいわいとにぎやかに食事を楽しむ
食堂」という意気込みを店側がこめているはずである。
浅草橋からほど近いここは、まさにそんな店だった。
仕事の時間の関係で、深夜の一人飯を外食で、という
こともあるのだが、こういう店では4人くらいで、
いろいろなワインを飲み、料理を食い、そして語るのが
いちばんふさわしいはずだ。ということでよく飲み、
よく食べ、よく語る面々とで楽しく過ごす事になった。
アルザス料理だから、タルトタタンとシュークルート
という定番はもちろん、「発見」がしっかりとあった。
前菜では「キュウリの発酵漬け」。ピクルスと思いきや
さにあらず、ビネガーではないほのかな酸味と、意外な
味が、アルザスのバランスがとれたワイン「ジョンティ」
によく合う。これをビールのつまみに、というのは
かなり新しいマリアージュな気がする。
「やさしい」という意味の「Gentil」は英語では
ジェントル。それをジョンティとカタカナにしたのは
この店のこだわり。そんな雰囲気に包まれて、次々と
ワインを開け、ハイライトは88年のピノグリージョ。
今年のはじめに行ったストラスブールでも、こんなのは
お目にかかれなかった。いやはや日本はすごい国だ。

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日本におけるアメリカン料理

Ricos KITCHEN(リコス キッチン)
一緒に仕事をしている会社がこの近くにあったので
何度もランチでは訪れた事があるこの店。
大上段に構えているワケではないが、野菜が得意で
アメリカを中心としたワインのセレクションに特徴が
あるといえよう。ディナーはおまかせのコースで
最初に食べられない食材はないか聞きに来てくれる。
野菜は御殿場方面ではなく、北海道のものらしい。
アミューズのあとは大ぶりのサラダをはじめとして
フォワグラとうなぎを重ねたソテー、スモークした
鴨のメインまで、何皿も出てくるのがうれしい。
頼んだオレゴンのピノノワールに合わせてくれたのか
お隣の料理とは少し違う内容。とはいえ隣のテーブル
ではお皿に合わせたグラスワインが次々と出てくる
というスタイルで、これはこれで楽しそうだ。
がっつり肉を食べるのが好きなボクにはもの足りない
のでは、とお店の人は心配してくれたが、たまには
いろいろと食べたい時もある。アメリカではこの種の
レストランはよくあるけれど、日本にはありそうで
なかなかないし、あっても値段が張る場合が多い。
だから貴重な店だし、前回はこんなのを食べたから
今回は違うものを、というようなわがままを言って
みたい。巷にあふれるエセ評論家が書く評価サイト
の情報に惑わされることない、美味しいモノ屋さん
でいて欲しいと思う。

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侮れないニコタマイタリアン

MISCELAD'ORO」二子玉川店
その昔あった勤務先の保養所がなくなり、長野方面は
ゴルフにも行かないので、軽井沢にはご無沙汰している。
最近話題の、プリンスのアウトレットに行く事もなく、
思い浮かぶ店といえば「東間」か「かぎもとや」などの
そば屋くらいで新開拓はゼロ。だから「ミシェラドーロ」
といっても全くピンとこず。二子玉川SCにその
支店が入ったからといって、全くノーケアだったのは
言うまでもない。店舗はいわゆる「デパートの上の階の
食堂街」で、天井が高くて気持ちがいいとも言えるが、
夜に落ち着いて食事という感じではないかも知れない。
もともとシチリアのコーヒー豆のブランドで、それが
レストラン事業にも乗り出したというのだが、軽井沢の
野菜と水を使った手打ちパスタが中心となるメニューで
想像をはるかに上回る充実したイタリアンだった。
まずはその野菜のバーニャカウダ。前菜には豚のアタマ
の部分の肉を使ったアスピック、イナダのカルパッチョ
のルッコラわさびソース、パテ・ド・カンパーニュ。
リエットのようなパテ・ド・カンパーニュとは違い、
しっかりと「肉」の食感と味が出ていてなかなかなもの。
パスタは卵の黄身だけでなく白身もしっかり使っていて
手打ち麺の細麺としては、かなりのレベル。ラーメンの
麺と似て非なる(例えは悪いが)もので、パスタランチ
が人気だというのもうなずける。メインの豚肉のグリル
は脂身の甘さがしっかり楽しめて、信州牛のハンバーグ
もまた「肉」のうま味が十分。ボクの店選びの基準だが
塩がツボを押さえていて、これらをつまみにボトルが軽く
開いてしまった。そうそう、面白そうなワインも数々。
野菜と肉とワインで自然の恵みを堪能できるという店。
近隣のランチ・マダム達だけに独占させておくわけには
いくまい。

【エセアスリートの日課】
バイク 20km

【肝硬変への道】
コッリ ディ ルニ ロッソ「ルペストロ」’ 09
(リグーリア)
ビオを取れば取れる基準を満たしたサンジョベーゼ
60%で残りはカナイオーロなど。トスカーナとの
州境で収穫するのだそうだが、キャンティとはまた
一線を画した複雑な味わい。

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歌舞伎町で四川を想う

新宿歌舞伎町の四川料理の「川香苑」
板橋の蜃気楼のマスターからその存在を教えて
もらい、ぜひ同行したかった店だが、なかなか
マスターとのスケジュールが合わず、たまたま
機会があって行く事にしてみた。正直なところ
何を頼んでいいのかあまりよくわからずに、
食べた事のある物を中心にセレクトしてみる。
まず手始めの口水鶏で、完全にノックアウト。
ピーナッツや香菜などが入ったソースは色だけ
見るととても辛そうだが、とても味わい深く
スープとして飲めるかもと思うほどである。
ナスの炒め物、水餃子の牛すね肉の鍋物、
家常豆腐などみんな唐辛子の色はあるものの、
微妙にその味付けが違ってとても深いものだ。
揚げ豆腐と豚肉の炒め物として中華の定番の
家常豆腐は、香港で食べた「くさい豆腐」の
熟成臭がほのかに鼻腔をくすぐり、普通の
中華料理屋の定食メニューのそれとは一線を
画している。食べたあとにはサッパリとして
いて、拷問のような汗が噴き出す辛さでなく
翌日も心配ない。本店は朝3時まで、近所に
4時までやってる2号店が出来たというのは
知っていたが、浦和にもランチがある普通の
営業時間の支店が最近出店したようだ。
愛想はないけど、スパイス好きならば絶対
行くべきである。できれば大人数で行きたい。
ちなみにデザートまで至極真っ当だった。

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ステレンボッシュの続き

青山一丁目の隠れ家ともいえる「mamas」
以前自転車で通りかかった時にテラスで盛り上がる
人々と、黒板の激安メニューにびっくりした店に、
たまたま知人が予約をとってくれて初めて訪問。
黒板にはやっぱりうろ覚えながら同じ標記があった。
・1000円コース メインとライス
・ 2000円コース 前菜3品
・ 3000円コース 前菜3品+メインとライス
そしてワインは南アフリカ産だという。食べログで
MAN Vintnersの写真があり、Coastalとなっていた
ので、場所を訪ねるとステレンボッシュだとの事。
去年Neil Ellisに行った話をママさんにすると、何と
ピンポイントで醸造元のハンス・シュローダーさんの
パートナーのみどりさんの姉妹だということがわかる。
何たる偶然だろうか。ワリとシビアな打ち合わせにも
かかわらず、シュローダーさんの娘婿にあたる
ホセさんのワインのStark-Condeを頼んでひとしきり
盛り上がる。そして南アフリカから直輸入された
Nando’sのPeriPeriソースを所望して〆のピラフに
かけて、動けないほどの満腹。いわゆる家庭料理だが
スパイスとアイデア一つでおいしくなるという見本。
毎日のレシピのアイデアの活性化に訪れたい店だ。

【肝硬変への道】
MAN Vinters Pinotage‘06
Stark-Conde Merlot ‘06

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Tanoshiがフランス進出

フランスでご一緒した指揮者の栗田さん
「スーパーで見つけましたよ」と買ってきて
いただいたのがコレ
「楽」と漢字で書かれていて、ブランド名が、
Tanoshiとあるではないか。正直なところ詳細が
よくわからず、微妙な感じではあるが、数ある
日本語から選ばれた、というのが何とも面はゆい。
ジャマイカに行った時に、まず入国からホテル、
カードを使う各所で口々に「お前はアイリーか」
といわれ、IRIEと書いたTシャツが土産物屋に
並んでいるのを見て、TanoshIもある種似た意味
なんだけどなぁ、と思っていたのだが、まさか
こんな日が来るとは、想像だにしなかった。
当然ながら日本や韓国、タイなどのブランドとの
競争では厳しい戦いではあるだろうが、密かに
応援したいと思う。しかし鈴木さんや本田さんが
世界中で通用する名前、というのとちょっと違い
これはこれで愉快なものだ。日本全国で推定20人
以上はいると思われる(その昔オールナイト・
ニッポンで同名を知っている人を呼びかけた
ところ、それくらいの反応があった)「Tanoshi」
さんに朗報である。

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カニ三昧の福井紀行

極寒、吹雪などの悪天候でも、観光客が
わざわざやって来るのが福井県坂井市の三国町。
目当ては冬の味覚の王様といわれる「越前ガニ」だ。
これは暖流と寒流がせめぎあう福井県沖でとれた
ズワイガニの愛称で、正確には雄がズワイガニ、
雌はセイコガニと言われているようだ。
爪に黄色いタグが付けられ、まさにブランドである。
そのカニを食べさせる旅館は、真冬がピーク料金。
それもそのはず、週に1回から2回行われるセリで、
カニ一杯が1万円から10万円で取引されるらしい。
当然それなりの値段にならざるを得ないワケだ。
競り落としたカニをどう食卓に出すかが腕の見せ所
カニは何より鮮度が命。セリの直後に生け簀に入れる。
「若えびす」 は、海辺にある旅館で階下に独自の
生け簀の施設を構えて、新鮮な海水で酸素と温度を
コントロールしつつ循環させながら、ひと月かけて
カニの体内にある泥を吐かせるというものだ。
まあ、デトックスのようなもの。十分に寝かせてから
食すカニの身の味たるや、かつて体験したことのない
「滋味豊か」とも違う「透明感あふれる味」。それは
海水のようでもあり、ほんのりと甘くもあり…。
刺し身はとにかく肉が離れなくて食すのが大変だ。
蟹味噌は甲羅に入れてあぶったものと、昆布を合わせ
鍋のスープで大活躍。カニ刺し、焼きガニ、茹でガニ、
カニ鍋、カニ雑炊。調味料は必要ないくらいでいて
カニづくしでも飽きることなく食べ尽くす。それも
50年間食べたカニが何だったのか、と考えつつ…。
「お取り寄せ」が盛んでも、これだけはわざわざ
行かなければ話にならない。

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