メディア批評

ブロードウェイのSpiderman〜Turn Off The Dark〜

構想構想段階から様々なトラブルが頻出して、何かと
話題のブロードウェイ版の「スパイダーマン 」。
まだ本公演ではなくて、プレビューなのだが、
怖いもの見たさ半分、期待半分で見ることに…。
一言で言えばまるでサーカスのような舞台だった。
観客の上を飛ぶスパイダーマンと敵。セットは
摩天楼を上から見た奥行きを出しているうえに、
U2が担当した乾いたギターリフなどの音楽が、
雰囲気を盛り上げ、北京五輪の開会式を担当した
石岡瑛子さんのコスチューム・デザインなどなど
見るべきものはたくさんあるのだが…。
「ライオン・キング」を舞台化したジュリー・
テイモアの演出ということなのだが、かなり
ストーリーが弱い。第1幕の誕生ストーリーや、
空中での格闘シーンは想像通りというよりも。
手に汗握る展開。しかし内省的な第2幕と最後の
オチはいったいどうなのよ、といいたいのである。
半分くらいしかセリフが聞き取れないボクが
こういうのも何だが、笑わせようとして、客席が
どうしていいかわからない空気は感じられたし、
終わってからのスタンディング・オベーションも
満席で注目作品というのに、チラホラである。
個人的に一番面白かったのが、前説での「空中を
敵が飛びますが、捕まえないで下さい」という
くだり、というのではどう言っていいのやら。
子供たちも沢山見に来ていたけれども、きょとん
とした感じで、劇場を後にしていた雰囲気だ。
さまざまな歴史と背景を持つ「スパイダーマン」が
ミュージカルならではの起承転結をもって、
ひとつのお話になるのは、難しいのかも知れない。
いっそどんなにそしりがあっても、サーカスにして
しまえばそれはそれで画期的だったかも。
少なくともピーターパンや、ガース・ブルックスの
スタジアム・コンサートにおける飛び方とは違う、
計算ずくのものだったのだけど、落下しちゃった
というのもミソをつけたということかなぁ。

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災い転じて福となす

野球の試合で完全試合がかかった9回2アウト。
27人目のバッターをファーストゴロに討ち取り
クロスプレーでそれを内野安打と塁審が判断。
結果はただの1安打完封勝利となったものの、
ビデオを見た塁審が、それを誤審と認めて後で
ピッチャーに謝罪したとする。
日本ならばテレビニュースで各局がその模様を
流して審判の責任を問い、コメンテーターが
ジャッジの技術云々をメジャーと比較したりし
抗議する監督や選手の声を擁護して、何だか
後味が悪い決着になるだろうと推測する。
実際にこの事件はおととい起こったのである
米大リーグのタイガースとインディアンスの試合。
タイガースのアルマンド・ガララーガ投手が
その「被害者」だったのだ。しかしメディアは
冷静にこれを報じ「ジャッジを尊重する」原則を
崩さず、ガララーガ投手も「誰も完璧じゃない」
と事実を受け入れたのである。驚くべき事に
このフェアプレー精神を称えてゼネラル・
モータースが彼にコルベットをプレゼントした。
よく考えて見よう。正しいか間違いかではない。
記録は覆らないが、審判は過ちを認めて、選手が
これを受け入れ、見事なプロモーションとして、
結果は誰も傷つく事なく、記憶に残る。テレビが
大人の対応をとることで、みんなが得をする。
そんなマーケティングがあるアメリカという国は、
やはり奥が深いと考えさせられた。
Galarraga02


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首相辞任に思う

【ラジオデイズ】
政治を語る柄ではないが、政治を語るメディアには
注視していたい。おそらく鳩山首相と小沢幹事長の
「政治とカネ」問題が出てからというもの、政権を
擁護し続けたメディアは「日刊ゲンダイ」のみだろう。
巨悪を暴き、政権の暴走を監視するのがメディアの
使命である、というのは原理原則なのは百も承知。
長年続く自民党政権の時にはその理屈でよかった。
それを追い落とす前に「シャドウキャビネット」を
建てていても、やはり野党と与党では立場が違う。
そこを従来通りの正義感で引きずり下ろすならば、
どうして小泉内閣の大きな矛盾に目をつぶったのか。
また石原都政のレイムダックに苦言を呈さないのか。
基地の是非を根本的に問う事も、対案を出す事もない
ままに、普天間基地移設問題を「首相の言葉が軽い」
ですませてしまい、八ッ場ダム問題を長引かせて
きたのは、全てのメディアが同じ論調だったから
ではないだろうか。この国の不幸は首相が替わる
という事ではない。テレビの立ち位置が宙に浮き、
多様な議論を経た上での世論を醸成できない事だ。

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第45回ギャラクシー賞

毎年恒例のギャラクシー賞。45回を重ねますます
ショーアップされてはいるものの、あくまで主役は
作り手である。タレントさんが制作者の応援に来て
ある人は壇上に上がり、ある人は最後までスタッフと
パーティで語らうのみ。93歳の市井の出演者が
応援に来たり、遅ればせながら現われたトットちゃん
が花束贈呈など、演出しないサプライズがいっぱい。
今年のラジオDJパーソナリティ部門の青山高治氏は
たまたま去年民放連の中四国地区審査会で個人的に
高い評価をしていた「秘密の音園」の番組をやって
いる人で、現委員の慧眼に感謝。ついでに贈賞式後に
東京支社からの生放送のスタジオに、祝い酒を持って
押しかける。このあたりがラジオのフットワークだ。
というかこのノリが自分からなくなったら、ラジオ
からは引退しないといけない。というかラジオは
93歳でも地方から表彰会場にやってくるような、
そんなフットワークの上に成り立っている。

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レーティングを取る方法論

レーティング圧勝の感謝パーティに出席。
聴取率にはタクティクスとストラテジーが必要だ。
番組制作者はゲストや特別企画などで常に対策を
要求されるが、局の編成はそれを吟味するのだけが
仕事になってはいないだろうか。もちろん番宣対策
局の広報対策はあるとはいえ、それらはいずれも
制作者と同じレベルのタクティクス、つまり戦術
でしかない。本当に必要なのは戦略である。
戦術が明快なFMがAMのシェアを上回る日は近い。
しかし聴取率調査でダントツの最下位を独走した
某局は、戦術にも金はかけないが、戦略は無きに
等しい。首都圏で最も聞こえやすい電波を持って
いるにもかかわらず、この迷走ぶりはひどすぎる。
減資を含めた、事実上の破綻したラジオ放送局が
(コミュニティFMではない)複数あっても殆ど
報道されないというのは、この国の不思議である。
戦術にも戦略にも資本が投下できないのでは、
当たり前の結果とはいえ、ラジオ全般のイメージ
ダウンとなることだけは避けて欲しいモノだ。

【エセアスリートの日課】
自分の体の重さを使ったプラクティス。
当日から筋肉痛になるのがお決まりだが、
明日が怖い・

バイク 25km

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初レーティングを乗り切る

新番組も4回が終了。エンディングにスタッフから、
毎回拍手が起こるというのもまだ続いている。
とはいえ330分の長丁場を勢いで乗り切る緊張感は
そうそういつまでも続く訳でもなく、中だるみの
ふとした瞬間が訪れるのも否めない。緩急をつける
というのは生放送では非常に大事なことである。
毎日ステーキやフルコース料理を食べられないのと
同じく、ラジオはどこかで気を抜いて聴き流すような
演出も必要だ。しかし番組は緊張感の欠如から
綻びが出てきたこともまた事実。出演者もスタッフも
同じポイントでだれてしまうなら、策は施さねば
なるまい。

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「より」と「から」

新番組も2週目に入った。ディレクターの意志疎通、
企画の精度、原稿の細かなチェックポイントなどなど
初回よりは改善されているとはいうものの、まだまだ。
しかし各方面からの評判がよく、まずはホッとひと息。
先輩方から教わった、企画は実現した瞬間に古くなる
という言葉を肝に銘じて修正と柔軟な革新はこれからも
繰り返さなければなるまい。原稿チェックの段階で
気になった一言をひとつ。最近放送では特に時間の
起点としての意味でしばしば「より」という言葉を
耳にする。文法的な定義はさておき、間違いでは
ないのだけれど、いかにも文語的で、改まったいい方
なのではないだろうか。「卒業式を午前10時より
開始します」は不自然ではないが、「卒業式は何時
より始まりますか」と聞く人はいまい。結局は
ラジオのように語りかける媒体が、「より」を使う
というのは「間違いではないが適切ではない」と
思うのだ。ちなみに赤を入れた原稿は、翌日の事で
あったけれど「●●日の18時より」であった。
正しいか間違いではなく「明日の午後6時から」に
する方が、より伝わりやすいと思ったのである。
こういう話しをしていると、よく「どっちが正しく
どっちが間違い」とデジタルな判断を迫られるが、
文法的に間違っていても、伝わる事の方が大事だ
というのがボクの考え。「正しい日本語をメディアは
啓蒙すべき」という人もいるが、ラジオは昭和末期
から啓蒙するようなメディアではない。

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台風と春の低気圧

熱帯低気圧ならば、発生から接近にいたるまで、
非常に丁寧な報道がなされる。しかし同じくらいの
勢力つまり980ヘクトパスカル級の春の低気圧で
交通機関に重大な影響を与え、土砂崩れもおきた
今日の天候の報道。これでよいのだろうか。
ちなみに熱帯低気圧では、強さの階級分けでは
強い 33m/s以上~44m/s未満
非常に強い 44m/s以上~54m/s未満
猛烈な 54m/s以上
大きさの階級分け 風速15m/s以上の半径
大型(大きい) 500km以上~800km未満
超大型(非常に大きい) 800km以上
という表現の目安があるが、今日の天候では
それらがあてはまらないから、これほどまでに
強い風雨は予想できなかった。
さにかく別のベクトルが必要なのではないかと思う。

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TOKYO UNITED初回放送

ジョン・カビラさんが、1年半ぶりに帰ってきた。
J-wave開局以前からの知己であり、洋楽ファン、
FENから流れてきた、数々のラジオ番組オタク、
新聞の折り込みの不動産と物産展などのチラシ好き、
牛肉フリーク、などなど、スポーツの分野以外は
かなり共通の趣味思考を持っていて、ラジオを
背負って立つ同志として、最もリスペクトする人の
最右翼といえる一人である。自分からはほとんど
「カビラさんの番組をまた手伝うことになった」
とアナウンスしていないのにもかかわらず、
関係者から「入江さん、やるんですって」と声を
かけられる事多数。ガラス張りのJ-waveの会議室で
打ち合わせをしていれば、それはバレバレなのだが、
そこに出入りしていない人にまで言われるのは、
いかに今回の復帰が注目されているかだろう。
恐らく古今東西稀な、週一朝6時から11時30分
という放送時間の区切り方。リスナー層がどんどん
変わっていくのが、来るメールから推し量られ、
このプロジェクトを成功させるプレッシャーは
ものすごいものがある。しかし今までの「朝の顔」
というポジショニングから、「金曜日の顔」として
20年間できなかった新しい「顔」をお聞かせし、
どうやって作っているんだろう、と思わせるような
誰にもマネが出来ない企画を満載して走りたい。
手応えは十分に感じられた。

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日銀総裁不在と報道

日銀総裁の空席は、戦後初というが戦前には5回あった。
初代の吉原重俊総裁は在任中の1887年12月に病死し、
その後約2カ月間、総裁不在。7代目の高橋是清総裁が
1913年に蔵相に就任した際は、後任が就任まで1週間
かかったので空席。そこで高橋是清を調べてみたら、
歴史上の出来事だった昭和恐慌と現代の共通点が浮上。

・輸出増で、日本のGDPを一気に押し上げた第一次
世界大戦の終了で、列強各国の生産力が徐々に回復し、
その反動で日本経済が落込む。
・1920年以降日本経済は10年不調となるが、27年
には取り付け騒ぎや銀行休業の金融恐慌を経験する。
70年以上後に同じ轍を踏んでいるのである。
・昭和恐慌と呼ばれる経済苦境の29年に発足したのが、
国民から高い支持を得てライオン宰相と呼ばれた
浜口雄幸内閣。その蔵相が元日銀総裁の井上準之助。
二人は緊縮・節約を合言葉に、みを伴う改革を訴え
デフレ経済下に財政緊縮を推し進めた。無能なトップの
財政政策で、経済は一層落込み恐慌状態に。
・為替政策も、金輸出の解禁で、実質的な金本位制へと
移行し、円高水準の固定相場を採用して経済が悪化。
円高で輸入が増え、財政支出の一層の削減が必要となり、
経済は一層落ち込み、経済建て直しに失敗。

ここまではそっくり。そしてその後だが、

・1929年の米国株の暴落から始まる世界恐慌の影響で
日本経済はさらに悪化、企業での大量の解雇と大幅な
賃金カットが行われ、経済は激しい落ち込みを見せる。
浜口内閣の次の若槻礼次郎内閣も「構造改革論者」で、
日本経済はどん底状態から回復できない。
・1931年に犬養毅内閣が発足し、高橋是清が大蔵大臣
に就任。矢継ぎ早のデフレ対策で日本経済は回復に
向い出す。為替政策では、金輸出の解禁停止と平価の
切下げで、結果40%近い円安局面を導き、財政政策で、
財源を国債で賄っての積極財政に転換し、国債の日銀
引受けで金利上昇を抑制している。

しかし国債の発行高が増え続ける現在には、その出口は
あるのだろうか。メディアはただ戦後初とばかりに
報道するのではなく、解決策も提示すべきではないか。

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